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【日本数学会最年少入会】ディープラーニングで医工学を変えたい

【日本数学会最年少入会】ディープラーニングで医工学を変えたい

今回のインタビューは、東北大学の工学部電気情報物理工学科2年の中屋悠資さん。
高校時代に数学研究に打ち込み、数多くの賞を受賞して日本数学会に最年少での入会を果たしたというかなりの強者。東北大学入学以来、研究室やハッカソンなどの場を利用しディープラーニングへの理解を深めようと精力的に活動しているようです。
本インタビューの【前編】では、中屋さんの高校時代から遡ってその活動内容と思考にフォーカスし、【後編】では、中屋さんの今後のビジョンに迫ります。

画像からパスワードを生成​

ー本日はよろしくお願いします。中屋さんは高校生にして日本数学会に最年少での入会を果たしたと伺いました。

そうですね。「Google Science Jam」という自然科学全般のコンテスト出場させていただいたのがきっかけです。

日本数学会への入会は、数学会員の教授3人からの推薦書と論文の審査によって会員になれるかどうかがきまるのですが、その当時の研究・論文が評価されて、入会の声をかけていただきました。

ー高校2年生にしてその実績は素晴らしいですね。具体的には当時はどんな研究をしたんですか?

画像からパスワードを生成するアプリを作りました。

簡単にいうと、みなさんってパスワードを設定する際は自分が覚えやすいように簡単なパスワードを設定しがちだと思うんです。しかし、それだと他人にバレやすいしアカウントを乗っ取れられしまう危険性もかなり高いです。

ですから、本人が覚えやすいかつ、他人からはバレにくいパスワードを生成する必要があると考え、本人の愛着のある画像から難解なパスワードを生成するサービスを作りました。

これだと、難しいパスワードではなく、簡単な画像さえ覚えていればいいので楽チンです。

中屋悠資

高校時代より関西学院高等部数理科学部にて組み合わせゲーム理論の研究に携わる
高校2年生の際に,それまでの研究成果が認められ,日本数学会に当時最年少会員として入る
以後大学2年生春まで数学研究を続け,査読付き論文誌へのaccept,国内外の査読付きの学会やコンテスト等でも入賞多数
現在はアプリ開発や培ってきた数学の能力を人工知能の研究に注ぎ,複数の研究を行っている
第36回情報処理学会ゲーム情報学研究会 若手奨励賞 受賞
第7回サイエンス・インカレ書類審査通過,ファイナリスト

ーそれはかなり便利ですね。ちなみにそこにはどんな技術が使われているんですか? 

グランディー数というアルゴリズムを使っています。

僕は高校生のころ、関西学院高等部数理科学部というところに所属していたんですが、そこがかなり本格的に数学を研究している部活だったのです。
そこで、グランディー数は元々は数学のために研究しており、国際学会などでも口頭発表を行ったのですが、パスワードの生成にも転用できるのではないかと考えて、アプリケーションに盛り込んだといった感じです。

*関西学院高等部数理科学部作成のスライドより引用

ーなるほど。高校生が作ったとは思えないクオリティーですね。。大学入学してからは、どんな活動をしているんですか? 

​大学入学以降は、大町・菅谷研究室で画像処理の研究をさせていただきつつ、ハッカソンにも出てアウトプットの場も設けるようにしています。

お話できるもので言うと、ハッカソンで外国人観光客向けのアプリケーションを開発しました。

iPhoneカメラで読み取った仙台の特産品を画像認識技術を用いて、その特産品の説明をテキストやリンクを表示させることで実現させるというものです。

ハッカソンは五時間という限られた時間で作る必要があったので、完成度は低いですけどね(笑)。

*中屋さんがハッカソンで開発したアプリ(牛タンの写真を画像認識で処理している)

ーえ?? このアプリ五時間で作ったんですか?? 

そうですね。何を作るか企画する時間も含めて五時間だったので、結構厳しかったです(笑)。

ーなるほど。プログラミング自体高校時代からやっていたんですか?

いや、実はプログラミングを本格的に始めたのは大学1年生の頃なんです。だからアプリ自体は作った経験があまりなくて、外国人観光客向けのアプリが自分が作った初めてのアプリだったんですよ。

ー初めてのアプリを、ハッカソンで、五時間で作ってしまったと?(笑) 

そうですね(笑)。ぶっつけでしたけど、「やっちゃえ」って思って作ってみました。

ディープラーニングの医工学への転用​

ー中屋さんが画像認識技術に興味を示すのには何か理由があるんですか?

それは、最終的には医工学に画像認識技術を転用したいと考えているからです。

僕はもともと医工学に興味があって、1年生の時に東北大学の有名な医工学の研究室に行かせていただく機会がありました。
その研究室は東北大学の中でも最先端な研究室だったのですが、実際は人間の手で作業している部分が多くて無駄が多いと感じて危機感を覚えたんです。
研究というより、雑用に割かれている時間が多すぎたのです。

その無駄を感じた例の一つとして、顕微鏡で観察した細胞の数を全部人力で数えていたんです。もしこの状況で、画像認識技術を使ったら、間違いも少なくなるし、正確だし、時間も短縮できるなと感じたのです。
そこで、画像認識の技術をまずは研究したいと思いました。

ーなるほど。それでは最終的には医工学の研究をしたいんですね。

そうですね。画像認識の研究はあくまで医工学を発展させるための1つの手段だと考えています。

​ですから、この1年間で機械学習分野への理解をもっと深めていき、学部4年生になるタイミングで医工学の研究が’できればと考えています。

専門は2つ以上もつべき 

ー医工学を研究する中で何か展望はありますか?

今考えているのは、遠隔医療とゴットハンドに関するものです。

まず第一段階として遠隔医療に着手したいと考えています。
これは既に研究が始まっていますが、スマートグラスのような機器を用いることで、専門医がいない所謂へき地でも、医者と患者がリアルタイムで話しながら高度な診療を実現し、地域による医療格差を無くしたいと考えています。

また、第二段階としてはゴットハンドに着手したいです。
現代はこれだけテクノロジーが発達して自動化も進んでいるので、ゴットハンドのような「その人にしかできない技」もデータ化して汎用的に医療に役立てたいと思うのです。
ゴットハンドのような手術時の絶妙な感覚は、やはり経験則に基づいて培われていると考えられるので、データ化することは可能であると思います。

引用:https://pixabay.com/ja/

こういった技術はきっと受け身で大学に通って勉強していても身につくものではないと思います。

現代のテクノロジーの発展をうまく活用すればもっと飛躍的に医工学を発展させることも可能であると考えています。

アプローチはたくさんあると思うのですが、自分の専門分野を強みとしてしっかりと確立させつつも、それとは別の分野にも飛び込んで2つ以上の専門性を獲得していると、それまでより大きく飛躍したプロダクトを作れるのではないかと考えています。

なぜ医工学なのか?​

ーなるほど。中屋さんの精力的な活動の根底には、医工学を発展させたいという思いがあるようですが、なぜ医工学なのですか?

実は、僕の曽祖父が東北帝国大学出身の医者でしたし、親戚にも医者が多かったので、小さい頃から医療への関心は高かったのです。

その中でも、医工学に興味を持った理由は大きく2つあると思います。
1つ目は、以前より祖母が去年から入院しているのですが、その際に病院側がうまく技術を活用できていない光景を目の当たりにしたことです。

現代にはかなりたくさんの医療機器があるのですが、もっと低コストでどこでも使えて、使いやすいものが必要だと思ったのです。

引用:https://pixabay.com/ja/

2つ目は、新しいものをつくるのが楽しいからです。

先ほども言ったように、小さい頃から医療には関心を持っていて、中学の頃まではそのまま医者になる道を考えていました。しかし、高校時代に、医工学という分野を知って調べていく中で強く興味を惹かれました。
医者は一般的に既にある技術を使うことに留まっていて、自分で新しい機器をつくって世の中に普及させるということはかなり稀なんです。基本的にはある技術を使って治療を行います。

僕は高校時代に数学研究や、実際にアプリをつくって発表したという経験から、まだ世の中にはない新しいものを考えてつくりだすということに楽しさを感じるようになりました。
この経験から医者ではなく、医者が利用する新しいテクノロジーをつくりだす医工学に興味を持ったのだと思います。

ー実際につくるということへの楽しいという感覚と、自身の祖母の入院による体験が大きく中屋さんに影響しているのですね。
今日はインタビューありがとうございました。今後も応援しています!

こちらこそありがとうございました!

中屋 悠資

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