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宇宙での生活を当たり前に。宇宙建築に魅せられた男の野望

宇宙での生活を当たり前に。宇宙建築に魅せられた男の野望

今回のインタビューは、東北大学工学部所属の小林稜平(こばやしりょうへい)さん。
​建築を学ぶ傍ら、宇宙建築学サークルTNL、Tohoku Space Communityといった学生団体に所属したり、enspaceというシェアオフィスでのインターンとして活動したりしています。
本インタビューでは、小林さんが最も情熱を注いでいる「宇宙」についての活動を中心にお聞きしました。

東北大学への編入

ー小林さんは大学3年次に高専から東北大学工学部建築・社会環境工学科へ編入したと伺いました。
なぜ東北大学への編入を選んだのでしょうか?

大学で「地震に強い建造物の構造」をより専門的に学びたいと思っていたからです。

東北地方は大きな地震が比較的頻繁に発生することもあり、東北大学は地震や災害に関する研究では最先端だったので、編入を決めました

元々高専で土木・建築を専攻して学んでいる中で、「地震が起こっても、高層ビルが倒れないのはなぜだろう?」ということに対してワクワクしていたんですよね

【小林稜平】
秋田県出身、東北大学東北大学工学部建築・社会環境工学科4年。
高専5年の時に宇宙建築と出会い、その後、東北大学に編入学。
3年5月:TNL東北支部立ち上げ
3年8月:Tohoku Space Community立ち上げ、entspaceインターン開始

宇宙は単純にワクワクする

ー宇宙に関する活動が多いですよね。なぜ宇宙に興味を持つようになったのでしょう?

高専5年の編入試験が終わった頃に「宇宙建築学サークルTNL」と出会ったことがきっかけですかね。

ーなんか意外!
小さなころから宇宙好きだったんじゃないかと勝手に思っていました。

たしかに宇宙関係のすごい人は「小さなころから宇宙に憧れていて~」というような人が多いイメージありますよね(笑)

僕、出身は秋田なのですが、TNLは関東を中心に活動している学生団体なのに、TNLのことを知った時になぜか「秋田からでも活動に参加してみたい!」って思ってしまったんです。とりあえず「遠隔でも良いから参加したいです!」とメールを送り、活動を始めました。

当時はそんなにアクティブな学生ではなかったのに、なんでここまで出来たんだろう?

ーそれはもう、運命だと思わざるをえないですね(笑)
宇宙建築のどこにそこまで惹かれたんですか?

単純にワクワクしませんか?

ーほ、ほう?

僕は「建築はデカいこと」という風に考えています。

「デカい」というのは、何メートルもの建造物を作るという面でもそうですが、地図に残るような誰もが知る建造物を作るという面でもです。
地上の建造物でも相当デカいことなのに、それを宇宙でやるってワクワクするなって。地上の建築について勉強しようと思って編入したのに(笑)
宇宙建築に出会ってから宇宙の魅力にどんどんハマっていきました。

地上では飽き足らず、宇宙に挑戦してみたかったのですかね。
そもそも宇宙建築学はどのような学問なんですか?

月や火星を始めとする宇宙空間で人が安全に過ごしたり、暮らしたりするための建造物を作ることを目的とした学問です。

例えば、月にものを運ぶのにもお金がかかるので、月に持っていくものを少なくして効率的に建造物を作る方法といったことがテーマとして挙げられます。 
単純に建造物を作る方法だけでなく、放射線が人体に及ぼす影響など、様々なことを加味しなければならないため、幅広い知見が必要な領域なんですよね。 

「月や火星で暮らすため」と言うと、その背景に「これから地球に住めなくなるから、新しい住処として宇宙に行かなければならない」というような課題感があるのでしょうか?

中にはそういうシナリオを描いている人もいます。

でも、僕もそうなのですが、ほとんどの研究者たちは、純粋に宇宙に住んでみたいから夢中になっているんだと思います。 

昔、ヨーロッパからアメリカ大陸を開拓しに行った人たちがいるように、行ったことのない場所に憧れるのは人間として自然なことじゃないですかね。 

ーなるほど。そう言われると宇宙に行ってみたくなっちゃうかも。 

ただ、宇宙飛行士になるハードルは相当高いですよね。
宇宙って特別な人のみが行ける場所なんじゃないんですか? 

確かに今は特別な人しか行けませんが、近い将来、普通の人も宇宙に行くようになると考えています。 

日本の宇宙ベンチャー企業であるispaceは、2040年には月を1000人が住み、年間1万人の旅行客が訪れる「都市」にする、というビジョンを掲げています。 (※)

研究者や宇宙開発企業の間では、宇宙に行ったり、宇宙に暮らしたりすることは決して夢物語ではなく、現実の話と捉えられています。 

(※)参考:「2040年頃には人が月に住める世界をつくる——宇宙ベンチャーispaceが描くビジョン

ー普通の人も行けるようになるなら、ぜひ行ってみたい…! 
話を戻して、TNLの活動としてはどのようなことをしているのですか? 

主に「宇宙建築を広める」ことと「宇宙建築を学ぶ」ことの2つの目的に沿った活動をしています。 

「宇宙建築を広める」に関しては、そもそも宇宙建築を専門に研究している人が日本に1人しかいないようなマイナーな分野なので、まず多くの人に知ってもらうために小学生向けのワークショップを始めとするイベント、展示会、「宇宙建築賞」の企画、運営をしています。 

「宇宙建築を学ぶこと」に関しては、TNLのメンバー自身で勉強会をしたり、作品を作ったりしています。 

ーどのような作品を作っているんですか?

この画像は2018年度の宇宙建築賞に出展したものです。この年のテーマは宇宙資源開発施設で、「Industry5.0」と題し、月面に基地が完成してから、資源を確保しながら人が住むようになり、都市が成り立つまでを時系列に沿って描いた作品です。

この作品で最優秀賞を受賞させていただきました。  

ーすごすぎる…
他の作品はありますか?

「Mars City Design Challenges 2019」という国際コンペにも出展しています。
こちらはまだコンペの途中なので詳細は言えないのですが、簡単に言うと「火星上で雪合戦をするためのスタジアム」を考案しました。

このコンペでは日本人唯一のファイナリストに選ばれました。 

ー「火星上で雪合戦をするためのスタジアム」を考案して国際コンペでファイナリスト!!?
オリジナリティの塊すぎて思考がついていかない… 

ははは(笑)
優勝できるようにさらに作品をブラッシュアップしていきます。

ないなら作れば良い

ーTohoku Space Communityは小林さんご自身が立ち上げたと伺っていますが、どういったきっかけで立ち上げたんですか?

高専にいる時に、大学に対して「優秀な学生たちが自分の興味のある分野の研究をしている教授のもとに自発的に集まり、ディスカッションを繰り広げている」というような絵を勝手に想像していたんですよね。
だから、大学に入ったら自分と同じように宇宙に興味のある人と一緒に学びを深めたいという期待で胸を膨らませていました。 

で、実際に大学生になってみたら、その想像していたことが全く行われていなくて、「みんな全然貪欲に学ぼうとしてないじゃん!」って思ってしまったんです。

ー耳が痛い…

と同時に、東北には宇宙産業に対して高いポテンシャルがあると考えていて。

ー東北と宇宙ってどう結びつくのでしょう?

実は、秋田県にあるJAXAの施設、能代ロケット実験場では、学生やアマチュア対象のモデルロケットの大会が毎年開催され、全国から宇宙好きが集まっているんです。
宮城県角田市にも宇宙センターがありますよね。 

このような土壌はあるのに、ビジネスに結びついていない。
そもそも東北や東北大の中に、宇宙に興味のある人のためのコミュニティがないことが課題なのではないかと考えました。
「ないなら自分が作っちゃえ!」と思って立ち上げたのがTohoku Space Communityです。

何事も動いてみるしかない

ーそういう「自分で作っちゃえ!」っていうマインドって本当に素晴らしいと思います。
新しいことを始めたり、自分から飛び込んでみたりすることについて不安はないんですか? 

もちろん、Tohoku Space Communityも人が集まるとか、ずっと続くだろうという確証があって立ち上げた訳ではありません。
でも、何事も動いてみるしかないと思うし、とりあえずやってみるっていうのが大切なのかなと。

学生の特権は時間がめちゃくちゃあることだと考えていて。
学生の時にしか出来ないことを考えて、自分がやりたいことをとりあえずやってみるのがベストだと思います。 

ーそうやって自ら動いてものに出来ているところを見ていると、動かない方が逆にリスクなのかなって思ってしまいますね。

そうですね。
動けば動くほど繋がりが増えるし、偶然の出会いがきっかけとなって、やりたいことの実現に近付けたこともたくさんあります。

これまで「行動しろ」と言われたことも多くありましたが、その言葉の意味が、この1年半活動する中でようやく分かりました。 

ーちなみに編入してから今までで、後悔していることってありますか?

基本ポジティブなので、後悔はないです! 

僕は人生はドラマみたいなものだと思っています。 

ーというと?

例えば恋愛ドラマだとしたら、好きになって、距離が縮んで「いけるかも!」と思っていたら、何かのきっかけですれ違ってしまって落ち込む時期があって、、からのハッピーエンド!というパターンがあると思います。

人生もそれと一緒で、何か失敗したとしても、「今は落ち込んでいる時期なんだな」と捉えています。

むしろ、その時期を楽しんでいるくらい(笑)
「これドラマだったら今めっちゃ良い時間なんだろうな」って。 

宇宙建築の理想と現実を繋ぎ、実用化へ

ー最後に今後のビジョンや、これからやりたいことについて教えてください。

夢は「宇宙での生活を当たり前にすること」で、それを叶えるために、宇宙建築を「研究」と「ビジネス」の2軸で究めたいと思っています。

ーおおー。
まず研究について詳しく教えてください。

これまではTNLの中で、趣味の範囲内で研究をしてきました。
しかし、次は研究者として、夢を達成するための宇宙構造物に関する研究したいと考えています。 

ー研究をする上で大切にしたいことはありますか?

現実と理想を上手く繋ぐような研究をしたいと思っています。 

建築の立場から宇宙建築の研究をしている研究者は、基本的に「人」に焦点を当てていることが多いんですね。
「この構造だと宇宙空間でどう感じるのか」、あるいは、「どのような構造だと居心地が良いと言えるのか」といった理想を追うような研究をしていることがほとんどです。 

逆に、宇宙工学の立場から宇宙建築の研究をしている人は、「どのような構造が実現可能なのか」という現実的な議論に終始しています。 

僕は学部で建築を学んでいますが、大学院では宇宙工学の方に進学しようと考えているので、この2つの分野を繋ぐような研究をしたいと思っています。 

ーなるほど。
研究だけでも大変そうですが、ビジネスや経営にも挑戦したいんですね。

NewsPicksの「イノベーターズライフ」(※起業家の人生や生い立ちに迫る連載)に影響を受けて、「起業したい!」と思うようになりました。

まだアイデアもないですが、Facebookに「来年度起業します!」という投稿をしてしまいました(笑) 

ー勢いがすごい!

まあこれはきっかけの1つです(笑)

後は、研究だけじゃなくて実用化までやらないと意味がないと思っていて。
それが出来る人になりたいというのが大きいですね。 

ゆくゆくは宇宙建築をビジネスとしてやりたいのですが、まずはビジネスやお金を稼ぐ練習として宇宙関連のスモールビジネスを立ち上げたいとに考えています。 

ー「やりたい!」と思ったことに対して迷わず突き進む姿勢、見習わなきゃなと思いました。
今日はありがとうございました! 

小林さんの活動に興味を持った方は、以下よりご連絡ください!
連絡先(Facebook)

TNL
Tohoku
 Space Community

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